XSIのキャラクターセットアップ1・チェインの作成
0.キャラクター制作の心得  1.チェインの作成   2.エンベロープ   3.コントローラーの作成


チェイン作成前に...
チェイン用に新規レイヤーを作成します。
ジオメトリ(ボディのオブジェクト)とチェインを別のレイヤーにすると、レイヤーコントロールでジオメトリを一気に選択されないようにできるので、チェイン作成や編集がやりやすくなります。ジオメトリが複数のオブジェクトの場合には特に便利です。

スケールについて
キャラクターのサイズを確認しましょう。推奨サイズは、1Softimageグリッド=10cmです。つまり、身長160cmのキャラクターならば、16グリッドになります。また、グローバル座標Y=0の位置が地面になるようにキャラクターを配置しておきます。

また、チェインはスケーリングしないようにしましょう。チェインの各エレメント(ルート・ボーン・エフェクタ)のサイズや形状を変えたい場合は、シャドウボーンを使用するという方法があります。

チェイン構造の概要
基本的には、人体のへその位置にCOG(重心)のヌル置き、そこから上半身・下半身ともに末端に向けてチェインを親子付けしていきます。他に、尻尾や袖などにチェインが必要な場合は、それらが、何が動いたら一緒に動けばいいのかを考え、必要な部分に親子付けするようにします。

チェインの作成・1 脚の骨を描く
ライトビューで脚の骨を描いていきます。

AnimateツールバーからCreate > Skeleton > Draw 2D Chainコマンドで、脚の付け根・ひざ・かかとの三箇所をクリックし、2本のボーンを持つチェインを作成します。この時、ひざの曲がる方向に少し曲げて描くようにします。(直線で描いた場合、思わぬ方向に曲がる可能性があります。)右ボタンを押し、チェイン作成モードを解除します。

ライトビューで描いたチェインは、X=0の位置にあるので、フロントビューで、チェインルートとエフェクタを移動し片側の脚の位置にあわせます。

AnimateツールバーからCreate > Skeleton > Move Joint/Branchコマンド(ショートカットCtrl + j)を選択し、ライトビューでチェインの各ジョイントを動かして脚の中に納まるようにします。ジョイントとは、チェイン作成時にクリックした部分(関節部分)のことで、エクスプローラやスケマティックビューには表示されません。Move Jointコマンドを使うと、骨の長さや位置を素早く調整することができます。ジョイントは、体の曲がる部分の中心に置くようにします。

調整が終わったら、チェインの各エレメントに名前を付けます。左右のあるものはLやRを名前の頭につけるとわかりやすくなります。ボーンの名前は、エンベロープ調整の時にウェイトエディタに表示されるので、体の部位など特にわかりやすい名前を付けておくことをお勧めします。また、ルートはルート、エフェクタはエフェクタであることがわかるように名前を付けておくとよいでしょう。

チェインの作成・2 脚のアップベクタを作成する
脚のチェインにUp Vectorを作成します。Up Vectorとは、すでに一軸が拘束されているオブジェクトに対し、もう一軸を拘束するコンストレイントです。2Dチェインの場合は、各ジョイントが同一平面状にあり、曲がる方向が決まっています。Up Vectorを設定することにより、その平面を制御できるようになり、曲がる方向を変えることができます。

脚の前か後ろにUp Vector用のインプリシットオブジェクトかヌルオブジェクトを作成します。次に、第1ボーンを選択し、AnimateツールバーからCreate > Skeleton > Chain Up Vectorコマンドを選択、Up Vector用のオブジェクトをピックします。

Up Vector設定時にチェインがひっくり返った場合は修正します。第1ボーンを選択し、Enterキーを押してプロパティエディタを表示します。Kinematic JointプロパティのResolution Planeタブで、Rollの値に180をプラスします。
1. 第1ボーン選択
2. Chain Up Vector
3. オブジェクトをPick
↑Visibility Optionsで
Chain Critical Zoneを表示

チェインの作成・3 足先の骨を描く
ライトビューで足先の骨を描いていきます。

Draw 2D Chainで右図のように、2本のボーンを持つチェインを描きます。フロントビューで位置を合わせ、足のジオメトリの中に埋め込みます。必要があれば、ライトビューでMove Jointを使って微調整します。

チェインの各エレメントに名前を付けます。
チェインルートを移動して
かかとの関節に 合わせる。

チェインの作成・4 屈伸する仕組みの作成
脚部分のチェインと足先のチェインは親子付けせず、脚部分のエフェクタを足先のチェインルートに拘束します。脚部分のチェインのエフェクタを選択し、右側メインコマンドエリアのConstrainメニューからPositionを選択し、足先のチェインルートをピックします。

注意・Positionコンストレイントは、拘束されるオブジェクト(脚のエフェクタ)を、拘束するオブジェクト(足先のチェインルート)の位置に移動してしまいます。脚のエフェクタと足先のチェインルートが離れている場合は、右図のようなことが起こります。Positionコンストレイントをする前に、Constrainメニューの下にあるConCompボタンをアクティブにし、脚のエフェクタが足先のチェインルートの位置に動かないようにします。終わったらConConpボタンは非アクティブにしておきます。)

脚のチェインルートを下に下げると、屈伸運動ができ、足先のチェインルートを上げると脚を持ち上げることができるようになります。(脚を持ち上げる時は、脚のエフェクタを使用せず、足先のルートを動かします。)

↑拘束前

↑拘束後
膝が伸びきっている

チェインの作成・5 COG(重心)のヌルと腰の骨の作成
COG用のヌルオブジェクトを作成し、へその位置に置きます。サイズが小さいと体の中に埋まってしまうので、ヌルを選択してEnterキーを押し、プロパティエディタでサイズを大きくします(スケーリングではありません)。COGという名前を付けます。

またライトビューで、Draw 2D ChainでCOGから脚のチェインルートまでの1本のボーンを持つチェインを描きます。各エレメントに名前を付けます。

↑COG

↑腰のチェイン

チェインの作成・6 脚チェインのシンメトリコピー
脚と足先・脚のアップベクタオブジェクトをシンメトリコピー(対称に複製)し、もう片側を作成します。

脚のチェインと足先のチェインのチェインルートを、シフトキーを押しながらブランチ選択します(全体が個別のオブジェクトとして選択されるマルチ選択ではありません)。さらにシフトキーを押しながら、アップベクタを設定したオブジェクトを選択します。
AnimateツールバーからCreate > Skeleton > Duplicate Symmetryコマンドを選択します。開いたDuplicate Symmetryのウィンドウで、Duplicate Constraintsにチェックを入れて、OKボタンを押します。Duplicate Constraintsにチェックを入れて複製すると、アップベクタも複製されたオブジェクトに同じ構造で適用されます。

複製されたチェインとアップベクタのオブジェクトに名前を付け直します。

チェインの作成・7 下半身の親子付け
下半身を親子付けします。左右の脚のチェインを腰のエフェクタの子供にします。

アップベクタのオブジェクトと足先のチェインは、後でGlobal_SRTに親子付けします。

チェインの作成・8 胸部の骨を描く
ライトビューで、COGの位置から首の付け根に向かって、Draw 2D Chainで2本のボーンを持つチェインを描きます。前方に曲がるように少し曲げて描いておきます。必要であれば、Move Jointで微調整します。

チェインを描いたらチェインの各エレメントに名前を付けます。

チェインの作成・9 鎖骨を描く
フロントビューで、胸のチェインのエフェクタの位置から腕の付け根まで、Draw 2D Chainで1本のボーンを持つチェインを描きます。腕の付け根は、腕の関節の回転する真ん中です。(肩の上げ下げや腕を上げる動作をしないキャラクタは、鎖骨のチェインを省く場合があります。)

チェインの各エレメントに名前を付けます。左右がわかるようにします。

チェインの作成・10 腕の骨を描く
トップビューで、腕のチェインを描きます。Draw 2D Chainで、鎖骨のエフェクタから手首までの2本のボーンを持つチェインを描きます。前方に曲がるように、少し角度をつけておきます。
必要であればMove Jointで微調整します。トップビューで描くと、チェインはY=0の位置に作成されるので、フロントビューを見ながらチェインを腕の位置に上げます。

チェインの各エレメントに名前を付けます。左右がわかるようにします。

チェインの作成・11 腕のアップベクタを作成する
腕のチェインにアップベクタを作成します。腕の前か後ろにUp Vector用のインプリシットオブジェクトかヌルオブジェクトを作成します。次に、第1ボーンを選択し、AnimateツールバーからCreate > Skeleton > Chain Up Vectorコマンドを選択、Up Vector用のオブジェクトをピックします。チェインがひっくり返った場合は、脚の時と同様に修正します。

チェインの作成・12 手の甲の骨を描く
フロントビューかトップビューで、手の甲のチェインを描きます。Draw 2D Chainで、腕のエフェクタの位置から1本のボーンを持つチェインを描きます。トップビューで描いた場合は、Y=0の位置に作成されるので、チェインを手の甲の位置に上げます。

チェインの各エレメントに名前を付けます。左右がわかるようにします。

チェインの作成・13 指の骨を描く
フロントビューで指のチェインを描きます。(ミトン状の手を持つジオメトリの場合には、親指と他の指用に2本のチェインを作成したり、全く指先を動かす必要が無ければ指のチェインを作成する必要がない場合もあります。)

5本の指を全て作る場合は、中指の位置に3つのボーンを持つチェインを作成し、角度を変えて複製しほかの指にします。親指については、曲がる方向が他の指と違う(内側に向く)ので、チェインルートを回転させて内側に曲がるようにします。いろいろなビューで見ながら、Move Jointを使って微調整します。

チェインの各エレメントに名前を付けます。左右がわかるようにします。

チェインの作成・14 鎖骨から指先を親子付けする
鎖骨から指先までのチェインを親子付けします。

鎖骨のエフェクタを親にして腕のチェインを親子付けします。

腕のエフェクタを親にして、手の甲のチェインを親子付けします。

指のチェインがある場合は、まとめて手の甲のエフェクタの子供にします。

さらに、鎖骨のチェインを胸のエフェクタの子供にします。

チェインの作成・15 鎖骨から指先をシンメトリコピーする
親子付けした鎖骨から指先までのチェインとアップベクタオブジェクトをシンメトリコピーします。

鎖骨のチェインルートを中ボタンでブランチ選択します。さらに、シフトキーを押しながら、アップベクタのオブジェクトを選択します。AnimateツールバーからCreate > Skeleton > Duplicate Symmetryコマンドを実行します。開いたDuplicate Symmetryのウィンドウで、Duplicate ConstraintsShare Parentにチェックを入れて、OKボタンを押します。Duplicate Constraintsにチェックを入れて複製すると、アップベクタも複製されたオブジェクトに同じ構造で適用されます。また、Share Parentにチェックを入れると、複製元のチェインに親がいる場合に、同じ親の子供としてチェインが複製されます。

複製されたチェインとアップベクタのオブジェクトに名前を付け直します。

チェインの作成・16 首の骨を描く
ライトビューで、首のチェインを描きます。Draw 2D Chainで、胸のエフェクタの位置からあごあたりまでの、1本のボーンを持つチェインを描きます。

チェインの各エレメントに名前を付けておきます。

チェインの作成・17 頭(顔)の骨を描く
ライトビューで、頭のチェインを描きます。このチェインは、顔の向きを制御するためのものです。Draw 2D Chainで、右図のように1本のボーンを持つチェインを描きます。(首のエフェクタの位置から描く必要はありません。)

チェインの各エレメントに名前を付けておきます。

チェインの作成・18 頭部の親子付けをする
首と頭のチェインを親子付けします。

首のエフェクタを親にして、頭のチェインを親子付けします。

胸のエフェクタを親にして、首のチェインを親子付けします。(胸のエフェクタから末端に向けて、左右の鎖骨と首の3つに分岐するようになります。)

チェインの作成・19 Global_SRTの作成
Global_SRT(チェイン構造のルート)を作成します。

キャラクタの足元(グローバル座標の0.0.0)の位置に、ヌルオブジェクトを作成し、名前をGlobal_SRTにします。

チェインの作成・20 全てのオブジェクトを親子付けする
全てのオブジェクトを親子付けします。

胸のチェインと腰のチェインをCOGの子供にします。

COG・4つのアップベクタオブジェクト・左右の足先のチェインをGlobal_SRTの子供にします。

チェイン構造図(指先なし)
チェイン構造図(手のみ)





シャドウボーンの使用
チェインの各エレメントの形状やサイズを変えるには、シャドウリグを使用します。

エレメントを選択してEnterキーを押し、プロパティエディタを表示します。Chain BoneタブBone DisplayMain Bone Iconから任意の形状を選択すると、エレメントの形状を変えることができます。

サイズを変えたい場合には、Main Bone IconNoneを選択し、下のShadow Bone DisplayShadow Bone Iconから任意の形状を選択します。Shadow Boneを選択すると、その下のオフセットやスケーリングが有効になり、サイズを変えることができます。


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